詩・モード Z a m b o a volume . 20 |
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特集 豊原エス text●木村ユウ 「居酒屋のトイレに詩集、置かせてもらったんですよ」 「へええ」 「そしたらね、酔っぱらった人がトイレからなかなか出てこなくて、 んで、出てきたと思ったら号泣してるんですって。 けっこうそれで売れたらしいですよ」 「あ、詩集読んだんだ。へんな売り方だなあ。わははっ」 これは先日、豊原エスさんに電話したときの会話である。 豊原エスの詩集がこうやって手に取ってもらえるのは、 まず第一には、わかりやすい詩画集のかたちになっているから。 イラストと一緒になったもの。 直筆のもの。 書になっているもの。 これらの詩は「わかりやすい詩」として、既にひとつのスタイル。 だから普段詩なんか読まない人でも手に取りやすい。 相田みつをは詩じゃないとか、 竹内めぐみは思ったよりいまひとつだったとか、 よくわかるんだけど、 そんなことばかり言っていないで すこしでも、多くの人に詩の魅力を知ってもらうほうが楽しいんじゃない? 違う? でも確かに、 言葉が光っていなくちゃ、スタイルだけじゃしょうがないよね。 僕が探していたのは、 詩を読まない人にも受け入れられやすいスタイル。 ポップで、たたずまいとしての可愛さがあること。 でもきちんと言葉が光っていて、 文学鑑賞にも堪えうることができ、 そして、何よりも重要なのは、 魂に届く詩だ。 豊原エス。 なんだかイラストに詩をつけて、 ちっちゃい詩集を出している京都の子じゃなかったっけ? その認識は、いまに詩全体にとって大きな損失になると思う。 豊原エスにはもっと正当な評価が与えられるべきだ。 そして豊原エスを世に出し、後押ししていくことが、 詩の世界がこれだけ豊かなものなんだってことを、 世の中に伝えることに確実につながっていくと、僕は思う。 今回のZamboaでは、 書き下ろしのものと展覧会用に書かれた、 豊原エスと足田メロウさんの詩画を2点だけ掲載した。 そのすばらしさはぜひ詩集を買って確かめてほしい。 Zamboaでちらっと読んだだけじゃ何もわからない。だからあえて。 最後に、詩集『うた』から、 僕の気にいっている詩をひとつだけ。 あなたが言葉を途切らせた まるで 思い出せない 大好きな歌のよう ────────── 豊原エス 『歌いながら生きていく』 詩/豊原エス 画/足田メロウ 青幻舎 1,000円 『うた』 詩/豊原エス 画/足田メロウ おきらく商店 600円 『ホイッスル』 詩/豊原エス 画/足田メロウ おきらく商店 600円 ●上の全ての詩集が何冊でも送料300円で買えます。 新刊の『歌いながら生きていく』は普通の詩集なら、3版めくらいの数が出ている模様。 ご希望の方はお届け先をcall@poetry.ne.jpまでメールして下さい。 木村が応対します。 |