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八木重吉

 

 


(なぜわたしは)
(なんというわからぬやつらだろう)
(みずからをすてて)
(むなしいことばをいうな)
(金がないのだから)
(ゆうぐれの陽のなかを)

愛の家
 
 
 ○     八木重吉
 
 
金がないのだから
ものをかおうというのではないが
歳暮のまちのにぎやかでないところをさまよえば
ふみ切りばたに
だいこんがたんとつまれている
すこしもこころはゆるみはせぬが
このだいこんのたくさんをみれば
しょうじょうとふるさとのこころがしみてくる
 
 
 
 

●ルビ
金(かね) 歳暮(くれ) ふみ切り(ふみきり)

 
 
 
 

底本:日本の詩 第17巻 八木重吉集 田中清光編 集英社刊

 

 
 
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