トップ入口 

 
 
八木重吉

 

 


(なぜわたしは)
(なんというわからぬやつらだろう)
(みずからをすてて)
(むなしいことばをいうな)
(金がないのだから)
(ゆうぐれの陽のなかを)
愛の家
 
 
父   八木重吉
 
 
私が三月も入院して
死ぬかと言われたのに
癒って国へ俥で帰りつく日
父は凱旋将軍のように俥のわきへついて歩るいていた
黒い腿引をけつっきりひんまくって
あの父をおもうとたまらなくなる
 
 
 
 

●ルビ
俥(くるま)

 
 
 
 

底本:日本の詩 第17巻 八木重吉集 田中清光編 集英社刊

 

 
 
presented by Poetry Japan 著作権は各著作者に帰属します。禁無断転載。
(c)Copyright 2003-2XXX by Poetry Japan All rights reserved.
All original works published in this web site remain under the copyright protection as titled by the authors.

 お問い合わせ