石の影 木村ユウ
空だけはつながっていて
そして雲は
流れていくのね
夕暮れの光線の中、短い草を手で触って
小さな石を眺めていた
その影は長く長く
染まった草は冷たく
君のことを考えていた
こうやって
君の言葉を反芻しているうちに
枝を通ってくる光も、消えていくだろう
君を連れて
僕は
突然胸が詰まり
君の名前を何度も何度も
何度も
おやすみなさい、って
なんだか哀しい気がするの
眠ってしまったら
二度と目が覚めないんじゃないかと怖いの
だからずっと起きていました
落ちてきそうな空
君の使う言葉
答える声
空が回って
なんとか僕は
自分自身を押しとどめる
無意識に手を伸ばす
草が触れる
強く閉じていた目を開くと
茜に染まった丘
僕は草を撫で
おさえていた涙落ちる
ごめん
ごめんね
もう、
届かないよね
トパァズ 木村ユウ
色づく石の宿めは
消えることがないの
決められた指に
よりそう肌
甘みを帯びていくのがわかる
熱くなる
空気がほしい
ほしくない
明るい空なんていらない
歌なんてもともと聞こえていなかった
───僕は、いつも待ってた
君が現れるのを
そう?
僕は、言ったはずだけれどね
人の別れが
あまりに情けないと、いうことも
この石には…
悲しい宿めがあるの
決められた人以外へ渡るのなら
その人を不幸に
そういうことは
僕も認めざるを得ないな
僕はただ───
私、聞きたかった
どうして聞きたかった?
愛してしまっても、いいだろう?
そう言って
もらえることを