ごはんつぶ。 Lucky
寒い冬の朝、私はいつも炊飯器の中を想像していた。
とっても寒くてお布団から出たくなくて、
そしてとても眠いから。
炊飯器の中のご飯粒はいいな。
ほかほかの湯気のなかでみんな仲良くぎゅうぎゅうで。
ずっと眠っていてもだれにも咎められないし。
ずっとずっと眠っていて、ふと気づいたらお茶碗の中で
食べられてしまう運命だったとしても。
今の人間社会でも大して違いはないんだし
一度でいいから真冬の炊飯器。
中のご飯つぶの一粒になりたい。
そしてそのままあなたの脳へ運ばれていきたい。